いつも介福本舗のブログをご覧いただき、ありがとうございます。小戸本社の潮平です。
この度、9月~10月にかけて「キネステティクス認定プラクティショナー」の資格を取得いたしました!
「キネステティクス」という言葉自体に馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、今回はご紹介も含めてお話させていただければと思います。
キネステティクス(Kinaesthetics)とは、単なる介助技術の訓練ではなく、「人の動きの学習システム」です。この学びを通じて得られる知恵と技術は、専門的な介護や看護の現場だけでなく、私たち一人ひとりの「動きの質」を高め、毎日の生活を豊かに変える力を持っています。
今回のブログでは、キネステティクスとは何か、そして皆さんの身近な「お悩み」をどのように解消し、生活を豊かにするお手伝いができるのかをご紹介します。
1.キネステティクスとは?:動きを「学習」し「自己制御」する科学
キネステティクスは、その哲学を「行動サイバネティクス」という学問に置いています。サイバネティクスとは、もともとギリシャ語で「操舵手」を意味する言葉です。
船が目的地に向かう際、天候や波の状況(環境の変化)に応じて、舵を絶えず調整するように、人間の動きもまた、外部からの指示ではなく、自己の目標と現在の状況(知覚)とのズレを修正しながら、自動的に行われていると捉えます。
キネステティクスは、この「自己統治的なフィードバック制御システム」としての動きの仕組みに意識を向けます。
動きの中心は「フィードバック」と「知覚制御」
私たちは、無意識のうちに「体が安定している」「痛みがない」という望ましい知覚の状態を目標に設定し、行動の結果(出力)を情報(入力)として受け取りながら(フィードバック)、目標との差を埋めようと動きを調整し続けています。
キネステティクスを学ぶことは、この無意識の制御プロセスを意識化し、より効率的で快適な動き方を体験を通じて再学習することなのです。
2. あなたのお悩みを解消!キネステティクスの実用性
キネステティクスが世界中で注目され、医療・介護分野で標準的な教育として採用されているのは、単に技術論に留まらない、具体的な効果があるからです。
【悩み1】 介護・介助による身体的な負担が大きい(腰痛など)
介護の現場で最も多い悩みが、利用者の方を動かすことによる介助者自身の腰や肩の痛みです。
キネステティクスは、この問題を「相互作用」と「機能的解剖学」という2つの概念で解決します。
● 力の伝達の最適化
相手を「持ち上げる」のではなく、自分の体を効率的に使いながら、相手の残っている動きや能力を引き出すように力の伝達の方向を学ぶため、過度な筋力を使わずに介助が可能です。
● 骨格の活用
自分の骨格や重心を理解し、力を入れるのではなく、体重移動を主体とした動きに変えることで、介助者の身体的負担を大幅に軽減します。
これにより、介助者は自分の体を守りながら、長く質の高いケアを提供できるようになります。
【悩み2】被介助者の「自分で動ける」能力が低下してしまう
利用者の方の身体能力が低下し、何でも「やってもらう」ことに慣れてしまうと、さらに動きが制限され、生活の質(QOL)が下がってしまいます。
キネステティクスは、「人の機能的運動」という概念を通して、この状況を改善します。
● 動きの主導権の回復
介助は「動かす」ことではなく、相手が自発的に動くきっかけ(動きの発生)をサポートすることだと捉えます。例えば、ベッドから起き上がる動作一つをとっても、介助者が全てを行うのではなく、相手の小さな動きをサポートし、その人自身の「自立的な動きの促進」を目指します。
● 知覚の向上
自分の体がどう動いているかを深く感じ取る機会が増えるため、「まだ自分でできる」という自信と喜びを取り戻し、活動的になることにつながります。
3. 日常生活を変える!体験学習の魅力
キネステティクスの学習は、テキストを読むだけでなく、「体験」が中心となります。自分の動き、他者との触れ合い、力の伝達などを、自らの体で感じ、分析し、言語化していきます。
日常生活のあらゆる場面
たとえば、重い荷物を持つとき、長時間座っているとき、立ち上がるときで、無意識に使っていた体の癖や非効率な動きに「気づく」ことができます。
そして、その気づきを基に、重力や空間を味方につけた、最も楽でスムーズな動き方を自己調整できるようになります。
キネステティクスは、まさに自分の体と対話し、より快適で豊かな生活を自らデザインするためのツールなのです。
私は、この貴重な学びを介護・医療のプロフェッショナルの方々はもちろん、ご家族のケアをされている方、そしてご自身の体の動きを改善したい全ての方々の生活が、より豊かで、健康的になるお手伝いをしたいと考えています。
現場でのレクチャー、地域や病院、施設などたくさんの方々とのご縁やつながりを大事にしながら志事(志を持って事をする)に向き合っていければと思います。

